【海外就職 マレーシア】日系企業で働くTさん(男性・60代後半)
定年後も海外(マレーシア)の生産現場で現役で働くTさんにお話を伺いました。
●何故マレーシアで就職されましたか?
以前にシンガポール台湾やマレーシアなど東南アジアをまわっている間に漠然と今後リタイア後に日本以外でまた仕事を続けるならマレーシアにしようかなと考えていました。
中国や台湾での話があったのですが、熟年にとってはマレイシアが一番暮らしやすいという気持ちがあり、また昔の同僚などがKLやマラッカ、ジョホールで仕事をしていたことなど、知合いがいたことも選んだ理由のひとつです。
●入社した会社は日本企業ですか?
日本の企業です。
●現在の仕事の内容について教えてください。
新しいプロジェクトの立ち上げ、生産や品質管理のお手伝いです。
●経験はありましたか?
日本でも製造会社にいましたので いつも「もの造り」に携わり同じ経験をしてきました。
●その前はどのような仕事をされていましたか?
現在の会社の前にもマレーシアのローカル製造会社で、工場管理や新製品の立ち上げ、生産や品質管理のシステムつくりなどのお手伝いをしたことがありました。
●就職が決まるまでの活動期間を教えてください。
日本では数か月間、資料の収集・照会などしていました。
丁度日本でJACリクルート様の面接の機会があり、そのあと数カ月後に勤め先が決まりました。
●マレーシアで働く為に必要なのは何と思われますか?
英語・中国語・マレー語ができればそれに越したことはありませんが、日常ではある程度の英語ができれば大丈夫と思います。
仕事では言語が100%出来なくとも誠意をもって接すれば、自分の意志を伝えたり考えを理解してもらえることが出来ますし、日本人同士のツーカーの如きがなければ、なおさらこの気持ちが大切と思います。
また、自分のような年齢であればこれにプラス 健康であること、常に心身ともにベストの状態に保つ努力と自己管理が必要と考えています。
●現在どのような資格をお持ちですか?
現在は年齢制限を超えて登録資格がなくなりましたが、それまではJODC(*注)の海外派遣の専門家に登録していました。
この有資格者であったということも就職に有利に働いたと思います。
●過去に海外の経験はございますか?
短期では欧米や中国 長期ではシンガポールや台湾 またマレーシアでの経験もありました。
●休日はどう過ごしていますか?
ゴルフをしたり、単身赴任であることゆえの最低限の掃除や洗濯、それに食事の材料購入などです。
さらに時間があれば屋上にあるプールで水泳を楽しんでいます。
●お住まいはどうされていますか?
KL近郊のコンドミニアムの一室の賃貸住宅です。
●マレーシアのどこが好きですか?嫌いですか?
熱帯特有の自然に恵まれた環境。
南国特有のバイタリティーにあふれた、しかも細かいことを気にしないおおらかな人たち。
一方では日本に負けない近代都市として活気溢れる街並みなど。
これら新旧が混在するところが大変魅力的なところです。
嫌いと言えば、場所や時間によっての車の大渋滞。
また公衆道徳に欠けるところも垣間見ることありますが、最近は日本の大都市ではもっとひどいかもしれません。
●これから就職を考えている人へのアドバイスは何かございますか?
これからの就職を海外でと考えるならばまず目的をはっきりさせること。
そして自分が自慢できる知識や技術あるいは経験は何かをよく考えて、それをを生かせる就職先を選ぶこと、そしてどういう立場で仕事ができるのかを確認することも大事と思います。
●すでに定年を過ぎ、趣味に生きている人もいると思いますが、あえて仕事をすると決心された理由などお教えいただけますでしょうか?
もちろん周りには悠々自適で趣味を楽しんでいる友だちも大勢います。
一方で まだ現役として何らかの形で社会にかかわっている友人もいます。
同年で趣味に生きている人をうらやましいと思ったこともありますが、私の場合、年金に頼った生活よりも元気なうちは少しでも前向きに、たとえボランティアのようになるとしても、まわりにプラスになる活動ができればと考えてこの歳になってしまいました。
●これから定年を迎える年齢の方々が増えて来、同じように海外でのお仕事に踏み出す方もいらっしゃると思います。特にそのような同年代の方々にお伝えしたいことなどございますでしょうか?
まだまだ仕事に燃えていた40-60歳のころとは違うので、あまり無理せず健康を考えながら出来る仕事は精一杯頑張る一方で、海外生活を楽しむことも忘れぬようにしたらよいのではないでしょうか。
人それぞれ違うと思いますが自分の場合、ペナン・ランカウイ・パンコール・レダン・キャメロン・シンガポール・ヴェトナムなど数回の観光にまわり、南国ならではの多くの見聞を楽しみました。
まだまだ行きたいところが沢山あります。
また、現在は単身でこちらに来ていますが、出来る事ならもちろん家族と一緒の生活がベターでしょう(小生の場合ワイフは日本での親しい友人との付合い、同窓会の幹事、親の身体を気にせねばならぬことなどがあり、残念ながら条件が整いませんでした)。
年に数回家族が遊びに来てくれるのが何よりの楽しみです。
インタビューを終えて
ご紹介によるメールインタビューに快く応じていただいたTさん、これから定年を迎える方々のひとつの生き方の指針を示していただいた気もします。
若い時から積み重ね取得したその知識、経験などにより養われたその見識などが求められる場所のひとつがマレーシアであったのだと思います。
とかく日本ではリタイヤの場としてのマレーシアが注目されていますが、働く場としてのマレーシアもあるということを実感、再認識させられました。
(*注)JODCとは?
財団法人海外貿易開発協会のことで、開発途上国の産業人材育成、現地日系企業の事業活動を支援するために、スキルを持った専門家を派遣するなどの事業を行っている。
ホームページ:www.jodc.or.jp
(インタビュー’08年)
(取材協力 JACマレーシア)
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