【海外就職 インドネシア ジャカルタ】日系企業で働くSさん(女性・30代前半)
インドネシア(ジャカルタ)の日系企業で秘書として働くSさんにお話を伺いました。
●何故インドネシアで就職されましたか?
大学卒業後、業界紙の編集記者とし働き、転職後には塾の講師をしていました。
日本で働いていた時は海外との関わりもなく、また もともと英語が苦手だったこともあり、ここを含めた海外で暮らすということは、まったく想像できませんでした。
その私が、今こうしてインドネシアに住んでいるのは、人生は本当にわからないものですね。
こちらへ来たそもそものきっかけは、インドネシアのジョグジャカルタで、知人が赴任者として働いていたことです。
「いいところだから、ぜひ遊びにおいで。きっと気に入るよ!」と再三誘われ、「せっかくの機会だから・・・」と思いきって訪問しました。
3週間ほどの滞在でしたが、それが私の運命を変えました。
頼みの綱の知人が、私の到着を待っていたかのように「デング熱」で入院してしまい、言葉もわからない異国で予定外に一人ぽっちに・・・・・・。
右も左もわからず、心細くて泣きそうになっていた時に触れた、インドネシア人の温かさ。
これはいまだに、感謝してもしきれないほどです。
「なんとしてもここに再来したい!そして、ここのことをもっとわかりたい!」と、そのときに強く思いました。
そして留学を決意。
ここのおだやかな空気、多様で奥深い文化、おいしい果物、面白い人々にどんどんと惹かれていきました。
そういう中でここを去りがたく感じ始め、留学終了がせまったとき「このまま帰国してインドネシアと縁が切れてしまうのはもったいない!」と思ったのがこちらで就職を決心した一番の理由です。
また、「インドネシア語やインドネシアの文化を学んだ日本人」ということを生かして仕事をする機会は日本ではそう多くないと思いましたし、年齢的にももう30代に差し掛かろうとする頃でしたので、英語が苦手な私が外国で働く経験ができるとしたら、このタイミングを逃すわけにはいかない!と考えました。
インドネシアでの就職活動、転職活動を経て、今の会社にたどり着くまでは少し苦労しましたが、上司と同僚に恵まれ、いい経験を積ませてもらっていると思います。
●入社した会社は日本企業ですか?
はい。
日系企業の現地法人です。
●現在の仕事の内容について教えてください。
ポジションは、社長付秘書(兼秘書室主任)です。
主な業務は
・社長のスケジュール管理
・日本人の来客応対、電話応対
・社内外での翻訳・通訳業務(イ語←→日本語)
・日本人駐在員の滞在許可関連、住居、保険等の管理
・本社との連絡業務
・秘書室メンバー(ローカルスタッフ5名)へのマナー・日本語教育
・秘書室メンバーの業務管理、取りまとめ
などです。
●経験はありましたか?
ありません。
●その前はどのような仕事をされていましたか?
ジャカルタの引越会社で8ヶ月間、営業アシスタントなどをしていました。
●就職が決まるまでの活動期間を教えてください。
就職活動を始めてから最初の引越会社に決まるまでは、半年くらいかかりました。
その次の転職活動は、今の会社にすぐ決まりました。
●インドネシアで働く為に必要なのは何と思われますか?
特に現地採用の立場で求められるのは、「自主性」「協調性」「語学力」だと思います。
「自主性」…たとえ経験がなくても、現地採用社員を、日本の新入社員研修のように手とり足とり教えてくれる会社は、あまりないんじゃないでしょうか。
ここで、いったい自分に何ができるのか?「待ち」ではなく、仕事を求めていく姿勢が大事だと思います。
「協調性」…日本人とインドネシア人、双方のバックグラウンドを理解しているのが、現地採用の強みだと思います。
今の私の立場では、社長のサポートや日本人駐在員のフォローもそうですが、秘書室の代表として、ローカルスタッフ皆の意見を吸い上げ、働きやすい環境を作るのも大事な仕事だと考えています。
権力を振りかざすのではなく、協調して仕事を進めていく、バランス感覚が大事だと思います。
「語学力」… 私の場合、留学したおかげで、インドネシア語の「読み書き」ができるのが最大の武器になっていると感じています。
(弊社の日本人駐在員は、社長を除いて在イが長く、インドネシア語の日常会話にはさほど不自由しない人が多いので)
ただ正直な話、インドネシア語よりも英語ができたほうが、はるかに仕事の幅は広がると思います。
私は英語が苦手なので、なんとか勉強したいと思っているんですが・・・・・・。
●現在どのような資格をお持ちですか?
直接現在の業務にかかわるのは、インドネシア語検定B級です。
そのほか、
普通自動車運転免許
日本漢字能力検定準1級
潜水士
スキューバダイビング
学芸員
技術士一次試験合格(水産)
剣道3段
話の種にはなりますが、仕事には係わりがないものばかりですね。
●過去に海外の経験はございますか?
ありません。
●休日はどう過ごしていますか?
土日は、上司のお供でゴルフや釣りをしたり、友達とモールでお茶を飲んだり買い物したり・・・・・・。
ひとりで映画を見たり、華人街を散策したり、趣味である「面白いおもちゃ探し」に出かけることもあります。
たまには車で遠出して、山のほうの温泉地や、白砂ビーチがある海にも出かけます。
(ただ、どちらも、ジャカルタ市街から3時間くらいかかります・・・・・・)
連休には電車や飛行機で、友達や先生を訪ねて、昔住んでいたジョグジャカルタに遊びに行ったりもしますね。
ただ、ジャカルタは交通の便が悪いので、雨季は割と引きこもりがちになります。
●お住まいはどうされていますか?
私の場合は、会社の寮に住んでいます。
部屋が7つある大きなおうちを会社で借り上げているのですが、各部屋にお風呂(バスタブ)とトイレはもちろん、冷蔵庫、テレビ、エアコンがあり、快適です。
また、住み込みのお手伝いさんが一人いて、洗濯、アイロンがけ、部屋のお掃除を毎日してくれます。
料理もしてくれますが、台所は自由に使えるので、自炊もできます。
●インドネシアのどこが好きですか?嫌いですか?
うーん、改めて聞かれるとむずかしいですね。
【好きなところ】
果物がおいしい(わたしは、マンゴスチンが一番好きです)。
親日家の人が多い。
親切な人が多く、異教徒・異文化の人間も受け入れてくれる懐の広さを感じる。
せかせかせず、割とのんびりしているのが自分に合っている。
たくさんの民族が住んでいて、たくさんの文化があるので、いろんな人と知りあったり旅行をしたりするのがとても興味深く面白い。
植物が生き生きとしている。
【嫌いなところ】
インドネシア、というよりも主にジャカルタの嫌いなところですが(ジョグジャカルタではあまり感じなかったです)。
渋滞がひどく、空気が汚い。
雨が降るとすぐ道路が冠水する。
ごみをあちこちにポイポイ捨てたり、周囲の環境に配慮しない人が多い。
外国人に下心を持ってちがづいてきたり、ゴマをすってくる人がたくさんいるので、自分をしっかり持っていないといけない。
権力志向、縁故主義、拝金主義がことさら強いように感じる。
最近は特に、物価上昇が激しい。
外国人労働者に税金かけすぎ。
●これから就職を考えている人へのアドバイスは何かございますか?
こちらで就職する日本人は、まず管理職的な立場をあたえられると思います。
私は留学終了後の現地採用者なので、就職した当初は、ローカルスタッフとの立ち場の違いに戸惑いました。
留学時代は、周囲のインドネシア人と、友達として対等な立場で接することができました。
が、会社勤めを始めると経験の多少に関わらず、「日本人」というだけで、給与もファシリティも、ローカルスタッフをはるかに上回る厚遇が与えられますので、周りの目も違ってきます。
ここでは、英語も日本語もペラペラで優秀なスタッフをローコストで雇うことができるのに、会社が「あえて」日本人である自分を雇っている理由を、しっかり自覚しなくてはいけない…と考えます。
管理職として働く経験は、きっと将来の糧になると自覚しています。
また、バックグラウンドの違うスタッフに囲まれて働くことで受ける刺激は、大きな財産になるとも思います。
もし迷っているなら、チャレンジしてみては??
インタビューを終えて
思いもしなかった偶然から始まり、留学。
そこで習得したインドネシア語、理解を深めたインドネシアに関する経験を生かしたい、との思いからインドネシアでの就職を決心されたSさん。
通常の秘書業務の他に、通訳・翻訳、そして主任という立場で、管理職の仕事もされています。
転職後には、ご自身のスキルを十分に発揮できる場を見つけられたのこと。
人は何となく周りに流されてしまうものですが、新たに自分の場を見つけようと試みたSさん、意志の強さと自信が伝わってくるようです。
海外でも会社で働くということは、一種のお見合いのようなものです。
準備が万端ととのっていれば、自分の力が十分に発揮できる会社(職場)は必ず見つかるはずです。
また、インタビューのお答えにありますように、日本人を管理職として採用という国でのお仕事、人の上に立つという経験は、かならずご本人の将来に繋がるものと思います。
インタビューで再認識した大切こと、それは求められるスキルを持つ事、そして諦めないチャレンジ精神でしょうか。
(インタビュー’08年)
(取材協力 スタッフサービス インドネシア=>現 セルナ・ファロリクルート)
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