【海外就職 シンガポール】起業家のKさん(男性・40代前半)
シンガポールで会社を起業されたKさんに伺いました。
●何故シンガポールで起業されましたか?
田舎から東京に出た頃には、都会にある種の憧れを持っていました。
大学を卒業し東京で就職。仕事でシンガポールに駐在する機会も持ちました。
いざ、起業する段階になって、東京が全てでないと思える自分がいました。
考慮した結果、縁ができたこの地をそのスタートの場所に選びました。
もちろん、起業しやすい環境にシンガポールがある事も、ここでの起業を後押しした理由のひとつでもあります。
●現在の仕事の内容について教えてください。
弊社はサービス業の店舗展開をしているのですが、その中での私の仕事内容は、会社の店舗開発(場所の選択とフランチャイズ店オーナーとの交渉)、社員採用とそのトレーニングのアレンジ。
そして、当然ながら財務管理です。
●(そのお仕事の)経験はありましたか?
はい、あります。
立ち上げた会社は前職の競合という事になります。
●その前はどのような仕事をされていましたか?
日本で大学を卒業後に銀行に入りました。
4年強在職中の仕事は、これから伸びそうな会社を探し、融資&投資を行う業務でした。
その後、ベンチャー企業に数社在籍した後に、銀行時代に知遇を得た経営者より誘われ、企業経営に役員として関わる事となり、そこを退社後の3年前に自らの会社の起業となりました。
●起業するまでの活動期間を教えてください。
前職を離れた後、以前から交流のあったシンガポール人と共に2ヶ月で会社を立ち上げました。
●シンガポールで会社を立ち上げる為に必要なのは何と思われますか?また、シンガポールで働く為に必要なのは何と思われますか?
お金が必要である事は言うまでもないですが、根性です。
スタートした後、1年間は雇ったスタッフに対する責任感や漠然たる不安から、眠れなかった日もありました。
ここで働くに必要なのは、日本の常識を持ち込むべきでなく、シンガポールに合わせるのは外国人たる自分であると言う事です。
●現在どのような資格をお持ちですか?
特に持っていません。
●過去に海外の経験はございますか?
個人旅行や出張を除いては、シンガポールでの半年間の駐在です。
●休日はどう過ごしていますか?
まだまだ色々とやる事がある上に、出張が多い為に、決まった休日はないのですが、休めた日などは読書をしています。
●お住まいはどうされていますか?
シンガポールにいる時は、今はホテルに泊まっています。
ちょっと前までは、アパートを借りていたのですが、最近は日本にいる方が多くなっていますので。
●シンガポールのどこか好きですか?嫌いですか?
好きなところは、仕事で合理的なところ、こちらの人は欲望を隠さない、ストレートなところがいいですね。
嫌いなところは、仕事でもないプライベート面でも合理的なところ。
また、外国人ワーカーと呼ばれる底辺の仕事につく人達への労働環境(安全面なども含む)に疑問を持っています。
●これからシンガポールで起業や就職を考えている人へのアドバイスは何かございますか?
起業される人は、色々な外野からの声に振り回されるのでなく、自分の目と耳を信じろと言いたいです。
プレイヤーは自分であって、けっして外野の観客ではありません。
あとは、日本人を頼るなとも。
これは現地シンガポール人の友人を作れ、ともいう事です。
実際、私自身シンガポール人の友人からは多く助けられました。
私が見聞きした限りですが、現地採用で働かれる人を見ていますと、シンガポールに過大な期待を持っていない人の方が、こちらに来た後も、うまく働いている様な気がします。
今は一種のシンガポール・ブームですから。
インタビューを終えて
銀行員として社会人の第一歩を踏み出したKさん、その後ベンチャー企業を経て、そして数年前の起業となったそうです。
起業の後しばらくは熟睡できなかったと、その現実の厳しさも語っていただきました。
Kさんが強調された、起業に自分の目と耳を信じる事というのは、うなずける点があります。
海外での起業や会社の進出に際して、他人に頼った情報を鵜呑みにして、動いている人や組織も絶えませんが、その事が後々トラブルの元になる事も多くあります。
また、同じ事に対し、違う人が全く反対の情報やアドバイスをもたらす事があります。
最近までシンガポールの日本人との付き合いはほとんどなかったとおっしゃるKさんの今回のインタビューでは、改めて日本人の逞しさを見させていただきました。
(インタビュー’12年3月)