人材紹介会社ICONICシンガポールの渡部(わたべ)ダイレクターに伺いました
●近年、シンガポールでは就労ビザの取得が困難になったと言われています。シンガポールで日本人が【働く】現状についてお聞かせください。
これは周知の事実ですが、日本人がシンガポールで働くには、EP(Employment Pass 就労ビザ 以下EPと記載)と呼ばれる就労ビザを取得する必要があります。
既に皆さんはご存知からも知れませんが、現在このEP取得の為の給与基準がかなり高い金額となっています。
現状は、日本の大卒レベル・社会人経験なしの年齢で月給3,600シンガポールドル(1ドル=80円として、約29万円)からの金額です。
これはあくまでも給与額としての最低基準であり、日本人には馴染みのある大学でも国立大学及び有名私立大学に比べるとそれ以上の給与を支払わなければ就労ビザ(EP)の取得が許可されない場合もあります。
さらに、ビザを取得時の年齢が加わることで、この給与ベースはスライドしてあがっていきます。
これは雇用主からすると、それに見合ったスキルがあるかどうか?払う金額に見合うだけの就労価値をその人に見出せるか?という判断を求めることにもなります。
こういう中、実際の求人は30歳未満のものが主となり、30歳を超えると企業からの求人がなかなか出てこない、出てきても求められるスキルが非常に高くなるといった傾向になります。
●シンガポール人を一定数雇用している企業が申請可能なSパス(給与最低基準が緩い)はどうなのでしょうか?
こちらは、まだSパスの雇用枠を持つ企業は、実際に求人を出しています。
しかしながら、現状のEPが困難になっている中、必要な時に必要な人材が取れるようにと考え、敢えてSパスの枠を残しておくという企業もあります。
そういう中、私が懸念しているのはDP(Dependant’s Pass)の取得が難しくなることです。
現在シンガポールではEPを持つ家族は、DPという扶養者ビザを取得しますが、この国ではDPでの就労が可能です(雇用主が人材省に申請の必要あり)。
これが2018年1月1日から6,000シンガポールドル以上の給与が得られるEP保持者でないと、その家族のDP取得ができなくなります。
(既にDP取得済みの場合、EP保持者の雇用主が変わらなければ旧基準で更新可)
現在DPで就労されている方も多いと思います。
そういう方々が企業の戦力になっているのは間違いない事実です。
しかしながら、今後はこれがどう日本人のDP取得者の総数減少に繋がるのか?
新たな規制がでてくるのか?
政府の動向を注視する必要がありそうです。
過去と明らかな相違点としては、EPの申請から許可までのスケジュールにおいて、過去は申請から2~3日で許可ができるのが通常でしたが、現在は1~2週間かかるケースが多くなっています。
これは勤める予定の企業から内定をいただいて、実際に勤め始めるまでの期間が長くなることを意味します。
以前から日本人の海外就職先で人気のあったシンガポールですが、最近は応募者の方の傾向も20代の若い方と50歳以上のキャリア組(ただし日本での給与同額は難しい)との双方に二分化している傾向にあります。
これからシンガポールで働きたいと考える方は以上の点を踏まえて、ご自身のシンガポールでの就職活動とそのスケジュールを考える必要がありそうです。
●御社のサービスについてお聞かせください。
ICONIC Groupは2008年にベトナムのホーチミンからスタートしたグローバル人材総合サービスを提供するグループです。
創業者の安倉が27歳で立ち上げ現在はハノイ、東京、インドネシアのジャカルタとチカラン、マレーシアのクアラルンプールに支店を持ち、この度9月からシンガポール支店を開設いたしました。
正社員のご紹介を主なサービスとしまして、ローカル人材、特に中堅から管理職クラス、グローバルな人材のご紹介をさせていただいております。
また、組織人事コンサルティングとして人事制度の構築、見直し、運用から労務管理、人材育成等幅広く人事支援をさせていただいております。
シンガポールも上記サービスに加え、各種ビザコンサルティング、代行申請、イベントスタッフ派遣等のサービスを提供させていただきます。
まだまだ小さい組織ですが各国情報を密に交換しネットワークを最大限に活用し東南アジアでの皆様の事業を支援させていただけたらと願っております。
お気軽にご相談いただければ幸いです。