ベトナム在住日本人より、現地現状レポート(2022年6月)
ベトナムの現状を首都ハノイに住む日本人Sさんにお聞きしました。
ベトナムの現状
コロナパンデミック後のベトナムについて、現地からのお話をお聞かせください。
ベトナムも当然ながら、コロナパンデミックによる影響は深刻なものでした。
しかし、現在は ほぼ全ての規制が撤回され、ようやくコロナ前と同様の生活や経済活動が再開された感じです。
ただ、2年間の規制で、観光業を中心に、多くのサービス事業者の経済活動が打撃を受けました。
確かに、このコロナ規制期間中、経済は停滞したかも知れません。
しかしながら、ベトナムは業種によっては外需に頼らず、内需によって発展できる要素も増加しています。確実に国民の購買力が強まっています。
また、これまでの経済発展により、資本を持つローカル大企業が、ベトナムから海外の企業買収など、外への展開も見られるのではと思えます。ベトナム企業が海外にM&Aというのは、従来の経済活動とは逆のパターンですね。
勿論のこと、コロナ後は海外からの投資も継続的に続くでしょうし、一定の対米ドル為替レートの維持により、ベトナムはこれからも安定した投資環境として魅力を持ち続ける国だと考えます。実際に、韓国資本や米国資本が新規参入開始し、産学連携や学学連携の案件も増えてきています。
経済規模でも周辺国の中で存在感を増していく中、いつかは社会主義体制下の資本主義・自由主義経済を、どうバランスを取って維持するのかの岐路に立つ時がやってくるのかも知れません。
政治・外交的には、敵を作らず他国とうまくやりながらも、VinGroupやVinamikといった地場巨大企業が経済を引っ張り、今後も東南アジアでは「タイに追いつけ追い越せ」を続けていくものだと考えます。
ただ、これは負の点になるのかも知れませんが、どの国でも起こりうる大都市への経済集中も非常に目立つところです。今後もこの傾向は、経済発展に伴い、地域間の経済格差を拡大させながら、ますます加速度的に進む可能性が高いです。
ハノイについて
ハノイの街の変化は、コロナ前とコロナ後ではどう変わりましたか?
コロナ以前は、海外からの観光客が年々増加し、いろいろな国・人種の人たちで賑わっていました。街は朝から夜まで賑やかで、何かしらの音が鳴り響いていたように覚えています。店舗なども空き店舗はなく、何かしら新規の出店が相次いでいました。
コロナ禍では、街では基本的にベトナム人しか目にせず、観光客が激減し、ツアーバスも見ませんでした。空き店舗が増えて、閉店された店舗が目立ちました。
現在では、ひとまずパンデミックも収束し、ひと段落過ぎて、海外からの観光客もワクチン証明書やPCR検査証明書などがなくとも、誰でも海外からベトナムに入国することができます。結果、ビジネス目的の人だけでなく、海外からの観光客も街に戻り始めたという段階です。
都市鉄道について
世界的なコロナパンデミックの中、2021年11月にハノイの都市鉄道が開通しました。
ベトナム ハノイ 初の都市鉄道 開業 交通渋滞悪化が背景 (2021年11月 NHKニュースより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211106/k10013337001000.html
ハノイでの都市鉄道開通の効果は見られますか?
一定の人数のベトナム人は利用しているようですが、ハノイの人口(809万人)を考えると、まだまだ少ないですね。
電車内は綺麗だという声も多く聞きます(実際綺麗)が、一般に普及しているバイクの方が安全だといった(ちょっと日本人的には不思議とも思える)乗車未体験者らしい声も耳に入ってきます。都市鉄道というものの利便さへの理解が、まだまだ浸透していないというところでしょうか。
都市鉄道ができての街の変化は、今のところまだありません。バンコクでは、都市鉄道のできる前とできた後で、街に変化が起きたと聞きますが、やはり5年10年というスパンで起きたものだと聞いています。ハノイの都市鉄道はできたばかりですので、まだそういう変化はなく、これからなのではないでしょうか。
ホーチミンシティについて
ホーチミンシティにも仕事やプライベートで行かれるとのことですが、そちらの変化はどのように感じますか?
コロナ以前は、特に夜の繁華街のまさに「眠らない活気」には、ハノイにないものがありました。街は遊びに出掛ける人で溢れていて、人々が明るく陽気なのが伝わっていました。同じ国でも気質の違いを感じたというか。
コロナ禍では、ハノイ以上に空き店舗が目立ち、気になりました。当然ながら、観光名所の集客が著しく減っていたのも目につきました。
しかしながら、旧正月は大勢の人が外に出て、2022年の旧正月を堪能し旺盛な消費欲は健在でした。
Sさんのお話のように、コロナによるダメージは例外なくベトナムも受けたものの、旧正月を経て、徐々に社会は落ち着きを取り戻す方向に進んでいます。
東南アジア諸国がコロナ規制を大きく緩和している中、例外なくベトナムもそのうちの国のひとつです。
人流の再活発化により、経済も再び活性化するものだと思えます。
これからのベトナムの発展も楽しみです。
日本からも、新型コロナウイルスの陰性証明書・保険加入を条件に入国が容易になりました。
ご参照:入国後の隔離なしで短期出張が可能、新型コロナ陰性証明は必須
(ベトナム)JETROウェブサイト
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/667d130653fdd3e8.html